「なぜ」の質問はもう怖くない!コーチングで未来を拓く、目的を深掘りする「なぜ」の質問術

「なぜ」という問いは、コーチングを学び始めたばかりの頃、多くの人が直面する壁かもしれません。私もそうでした。「『なぜ』は使ってはいけない」という教えに縛られ、「じゃあ、未来の目的を聞くときは、一体何と質問したらいいんだろう?」と頭を抱えたものです。

でも、安心してください。実は「なぜ」という言葉自体が悪なのではありません。大切なのは、その使い方と意図なんです。


「なぜ」には2つの顔がある

日本語の「なぜ」には、大きく分けて2つの意味合いがあります。この違いを理解することが、「なぜ」の呪縛から解放される第一歩です。

  1. 原因・理由を問う「なぜ」(過去志向) これは、ある事柄が「どうしてそうなったのか」という過去の事実や原因を探る「なぜ」です。
    • 例:「なぜ、あの時、それができなかったのですか?」
    • 例:「なぜ、もっと早く始めなかったのですか?」
    コーチングで「なぜ」が避けられるのは、主にこのタイプです。この問いかけは、相手を過去の行動や結果に縛り付け、言い訳や自己弁護の姿勢を引き出しやすい傾向があります。クライアントが前向きな行動や解決策を考えるエネルギーを、過去の正当化に費やしてしまう可能性があるのです。
  2. 目的・意図を問う「なぜ」(未来志向) 一方で、こちらは「何のためにそれをするのか」「どんな未来を望んでいるのか」という、行動の目的意図を明確にする「なぜ」です。
    • 例:「なぜ、この目標を達成したいのですか?」
    • 例:「なぜ、この行動を起こそうと考えているのですか?」
    • 例:「なぜ、それがあなたにとって重要なのでしょうか?」
    コーチングの目的は、クライアントが未来に向かって行動し、目標を達成できるよう支援することです。この「なぜ」は、クライアントが本当に望むものを認識し、行動の原動力を見つける手助けになります。未来志向の「なぜ」は、クライアントの内側にある動機や価値観に光を当て、行動へのエネルギーを引き出す強力なツールになり得るのです。

「なぜ」を避けるべき時と、積極的に使うべき時

「なぜ」を避けるべき時

クライアントが過去の失敗や現状について話しているとき、原因追究になりそうな「なぜ」は避けましょう。

  • 「なぜできなかったんですか?」
  • 「なぜその選択をしたんですか?」

これらは、クライアントを責めたり、自己批判を促したりする印象を与えかねません。代わりに、「どうしたらできたと思いますか?」「その時、何を感じましたか?」など、未来志向の問いや感情に焦点を当てる問いに切り替えてみましょう。

「なぜ」を積極的に使うべき時

クライアントが目標や望む未来について話しているとき、その目的や価値観を深く掘り下げたいときに、効果的に「なぜ」を使ってみましょう。

  • 「この目標を達成することは、あなたにとってなぜそんなに大切なのですか?」
  • 「その行動は、あなたにとってなぜ必要だと感じますか?」
  • 「この結果を得ることで、あなたの人生はなぜより良くなると考えますか?」

これらの質問は、クライアントが自身の深層にある動機や、本当に実現したい未来を言語化する手助けとなります。目的や意図が明確になることで、行動へのモチベーションが格段に高まります。


「なぜ」に代わる未来志向の質問のヒント

もし「なぜ」という言葉を使うことに抵抗があるなら、以下のような未来志向の質問も有効です。

  • 「この目標を達成することで、何を得たいですか?
  • 「その行動は、どんな結果につながると考えていますか?
  • 「あなたが本当に望む未来は、どんなものですか?
  • 「それがあなたにとってどういう意味を持ちますか?
  • 「最終的にどうなっていたいですか?

まとめ

コーチングにおける「なぜ」は、単なる言葉の選択の問題ではありません。それは、クライアントの思考を過去に向かわせるのか、未来に向かわせるのかという、コーチの意図とスタンスを示すものです。

「なぜ」という質問を使うことに悩んだら、その問いが「原因」を尋ねているのか、それとも「目的」を尋ねているのか、一度立ち止まって考えてみてください。未来志向の「なぜ」は、クライアントの潜在的な力を引き出し、目標達成へと導く強力な味方になります。

あなたのコーチングが、さらにパワフルで効果的なものになることを願っています。

コメント