〜感情の裏にある“究極目標”を見立てる〜
🔹感情が動く瞬間にヒントがある
日常の中で、ちょっとした出来事にイラッとしたり、落ち込んだりすることはありませんか?
実は、その「感情が動いた瞬間」こそが、自分を深く理解するための入り口です。
感情が動いた出来事について、
- その時に感じた感情(気持ち)
- そのとき頭に浮かんだ考え(思考)
- どうしてそんなふうに感じ、考えたのか(私的感覚・マイルール)
をジャーナリング(書き出し)していくと、
うっすらと自分の究極目標が見えてきます。
🔹究極目標とは?
アドラー心理学では、人の行動は「原因」ではなく「目的」によって動いていると考えます。
私たちはそれぞれ、無意識のうちに「こうありたい」「こうなりたくない」という最終的な方向性──究極目標をもって生きています。
臨床アドラー心理学のすすめ(八巻秀・深沢孝之・鈴木義也)(遠見書房)では、究極目標を以下の6つに整理しています。
支配/優越 人を思い通りにする/統制/人より優れたい
服従/依存/寄生 頼る/従う/取る/寄生する
奉公/喜ばせ/承認 機嫌を取る/仕える/認められる
貢献/協力/所属 有益/役立つ/皆といるのが幸せ/居場所がある
刺激/貪欲 刺激を求める/ものを集める
安楽/安全 居心地良い/危険を避ける/安心
回避 避けたい/逃げたい/関わらない
これらは支配、服従、奉公、貢献という形で人間関係を展開するタイプと、刺激、安楽、回避のように自分の欲求を追求するタイプに大別できる。〜中略〜実際には混在タイプもある。
出典:遠見書房 臨床アドラー心理学のすすめ(八巻秀・深沢孝之・鈴木義也)
これらの究極目標が、私たちが困難に出会ったときの思考や感情、行動のパターンをつくっていると考えます。
アドラー心理学の5の基本前提の中に仮想論というのがありました。
だから、この考えが、正しいか正しくないかは考えません。
「そう考えた方が便利だよね」というものを採用しているだけです。
🔹私の場合に見えてきたこと
私自身のことで言えば、これまで──
- 家族からミスを指摘されるとついイラッとして自分を正当化しようとする
- 自分の考えに固執して、言い争いになってしまう
- 人と深く関わることを避けてしまう
- 仕事で先延ばししてしまう
こうした日常の反応を丁寧に見つめていくと、
その背後には「他者より優れていたい」「思い通りにしたい」「失敗を避けたい」「逃げたい」といった究極目標があることに気づきました。
この“目的”を自覚できるようになってからは、
ライフタスク(愛・仕事・交友)に直面したとき、
少し立ち止まって「今までとは違う行動をしてみよう」と意識できるようになりました。
テキストの言葉で言うと、「予測を可能にする」です。
🔹過去のせいにしていた頃
以前の私は、こうした反応を子供時代の苦い経験のせいにしていました。
たとえば、父と母の仲が悪くなったとき、
父方の親戚からは母の、母方の親戚からは父の悪口を聞かされ、
どちらの味方にもなれず戸惑っていました。
また、転校が多かった時期に、転校先でいじめにあったこともあります。
その経験から「人は信じると裏切られるかもしれない」と感じ、
人間不信になっていったのだと思います。
「だから私は、人との関係がうまくいかないのだ」と、
長いあいだ“過去のせい”にしていました。
まさに原因論で生きていたなと思います。
🔹アドラー心理学が教えてくれた視点
けれども、アドラー心理学を学ぶ中で気づいたのです。
「過去の出来事が私を決めているのではなく、
今の私がその出来事にどんな意味を与えているかが大切なのだ」
家庭不和やいじめといった過去の体験は、
確かに私の中に深く刻まれています。
しかしそれを“言い訳”ではなく“理解”へと変えることができる──
そう思えるようになりました。
今では、
「私は“優れていたい”“失敗を避けたい”という目的で動いていないかな?」
と自分に問いかける習慣ができ、
感情に流される前に少し立ち止まれるようになってきました。
🔹気づくことが、選び直す力になる
究極目標を知ることは、
自分を責めるためではなく、自分を理解していくプロセスです。
気づけば気づくほど、
「同じ場面で、今度は違う行動を選ぼう」と思えるようになります。
完璧でなくてもいい。
気づくことそのものが、変化の第一歩です。
🌿まとめ
- 感情が動いた瞬間は、無意識の目的に気づくチャンス。
- 究極目標は、7つのタイプ(支配・優越/服従・依存・寄生/奉仕・喜ばせ・承認/貢献・協力・所属/刺激・貪欲/安楽・安全/回避)に整理される。
- 自分の反応の背後にある目的を理解すると、行動の選択肢が広がる。
- 過去ではなく、いま自分がどんな意味を与えているかが大切。
🔹おわりに──気づきは「勇気」のはじまり
究極目標は、私たちを動かす“心の羅針盤”のようなものです。
それを理解することは、過去を責めることでも、自己分析に終わることでもなく、
より勇気をもって、自分らしい生き方を選び直すことにつながります。
感情が動いた日常の小さな出来事に耳を傾けてみてください。
そこには、あなたの人生を方向づけている“究極目標”のヒントが、きっと隠れています。

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