アドラー心理学の「意識」と「無意識」は分離できない! ?フロイトとの違いから解説

「心は意識と無意識に分かれていて、無意識の自分が何を考えているか分からない…」

フロイトの精神分析では、心は意識と無意識という別々の領域に分けられ、無意識は意識できない衝動や抑圧された感情の貯蔵庫と考えられてきました。しかし、アドラー心理学は全く異なる視点から心を捉えます。

「アドラー心理学では、意識と無意識はどのように考えられているんだろう? 分離できないってどういうこと?」

そんな疑問を持つアドラー心理学初心者のあなたに向けて、本日はアドラー心理学における意識と無意識の統合的な捉え方を、フロイト心理学と比較しながら分かりやすく解説していきます!

1.フロイト心理学の「意識」と「無意識」:対立する二つの領域

まず、フロイト心理学における意識と無意識の捉え方を確認しましょう。

フロイトは、心を意識前意識無意識の3つの層に分け、特に無意識を人間の行動を大きく左右する根本的な動機と考えました。無意識には、意識できない欲求や感情、過去のトラウマなどが抑圧されており、それが夢や神経症といった形で表面化すると考えたのです。

フロイトの描く心は、意識という表層の下に、強力な無意識が潜んでいるイメージです。意識と無意識は、時に葛藤し、対立する関係として捉えられます。例えば、意識では理性的に行動しようと思っても、無意識の衝動に突き動かされてしまう、といった考え方です。これは、過去の原因が現在を決定づけるという原因論的な視点に基づいています。

2.アドラー心理学の「意識」と「無意識」:共通の目標に向かう一体の心

一方、アドラー心理学では、意識と無意識を分離した別々の領域とは捉えません。アドラーは、人間の行動は過去の原因によって決定されるのではなく、未来に向かっての目標や目的によって方向づけられると考えます。これがアドラー心理学の根幹にある目的論です。

アドラーにとって、意識と無意識は、あたかも同じ目標に向かって協力し合う、一体の存在なのです。一見すると矛盾するような意識と無意識の働きも、根底にある共通の目標を達成するための異なる側面として理解されます。

例えば、「もっと人に貢献したい」という目標を持つ人がいたとします。意識の上ではボランティア活動に参加しようと計画するかもしれません。一方、無意識のレベルでは、過去の失敗経験から「自分には無理かもしれない」という不安がよぎるかもしれません。

フロイトであれば、これは意識的な利他的欲求と、無意識的な恐れという対立と捉えるでしょう。しかし、アドラー心理学では、この一見矛盾するような感情も、「人に貢献したい」という共通の目標を達成するために、その人の中で統合的に機能していると考えます。過去の失敗経験から慎重になることも、長期的に見れば目標達成に必要な要素かもしれません。

3.「分離できない心」という視点:誤解と本質

アドラー心理学者の中には、「心は意識と無意識に分離できない」という考え方を強調する人がいます。これは、フロイトのように意識と無意識を明確に分け、対立するものとして捉えるのではなく、個人の全体性の中で、意識も無意識も一貫した目標に向かって機能しているという考えを示すものです。

この点を強調するあまり、「アドラー心理学は無意識の存在を否定している」と誤解されることもありますが、そうではありません。アドラー心理学は、無意識の存在そのものを否定しているのではなく、その役割と意識との関係性において、フロイト心理学とは全く異なる解釈をしているのです。

アドラー心理学では、意識で自覚できていない目標やその人の行動のパターン(ライフスタイル)も、無意識のうちにその人の行動を方向づけていると考えます。意識と無意識は、あたかも車の両輪のように、異なる働きをしながらも、目的地という共通の目標に向かって進んでいるのです。

まとめ:矛盾の奥にある共通の目標

フロイト心理学が意識と無意識を対立する二つの領域として捉えるのに対し、アドラー心理学は、それらは分離することなく、共通の未来の目標に向かって統合的に機能する一体の心と考えます。

(どちらが正しいとか、間違っているとかいう話ではありません。そもそも無意識の存在を証明する方法もありません。アドラー心理学では、ただそういう立場をとっているというだけです。)

一見矛盾するような感情や行動も、その奥にはその人なりの目標達成のための意図が隠されていると捉えるのが、アドラー心理学の重要な視点です。

この視点を持つことで、私たちは自分の心の中の葛藤を、単なる対立としてではなく、より深い目標を理解するためのヒントとして捉えることができるようになるでしょう。

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